違い。
現場にいるころから参考にしている、このシリーズ。
この人はチーフ・ワイリー(ワイリー局長)
日本とアメリカ、どちらが良い悪いではなく、「違い」がわかって面白いのでよく見ていました。
例えばこのビデオ↓
実際の現場でのはしご救助を紹介しています。内容は大体こんな感じ。
(ワイリー局長)
オクラホマシティーからはしごによる救助を紹介しよう。
彼らはとてもいい仕事をしているので、たくさんの学びがあるはずだ。
まず全員がフル装備をしているのがいい。
はしごを上った隊員は面体を着けている。(画像では確認できず)
要救助者がいるとおろそかになってしまうが、まずは自分を守るために必要なことをすること。
もしキミが怪我をすれば、要救助者にとっては完全な役立たずだ。
フル装備に数秒かけてほしい。
はしごによる救助で大切なことは、何より「訓練していること」だ。
間違っても、2階の窓で火に煽られている要救助者を前にして、「初めてやります」なんてことがあってはならない。
日々の訓練が絶対に必要だ。
仲間と任務を理解し、はしごを起こす前に、どこにどう架けるのか描けていなければならない。
このビデオで隊員はとてもいいはしごの架け方をしている。
先端を窓枠のすぐ下に架けていて、要救助者が楽に乗り移れる。
さらに、上の隊員が常に要救助者に話しかけているのがとてもいい。
隊員が何も言わず、要救助者がはしごに飛び移ってくる、なんていうのを時々聞くが、
これは要救助者も隊員も致命的な結果に陥る。
コミュニケーションは重大だ。
要救助者は我を失っている。落ち着かせて、どうしてほしいか伝えなければならない。
彼らは、はしごに乗ったことなどないのだ。
架梯位置もとても重要だ。
救助の時は、窓枠の中に先端を入れてしまえば、要救助者が乗り移るのは不可能だ。
排煙のためならば、窓枠の横に、しかも風上に設置する。
屋内進入のためなら、救助の時と同じか、少し下がいいだろう。
何度も言うが、これらは訓練なしにはできない。日々の訓練に取り入れなければならない。
誰かが訓練してくれるのを待つんじゃない。
キミがはしご救助をやらなければならない立場なら、君にはその責任がある。
うまくできるように、仲間と同じ意識を共有できるまで、訓練するだけだ。
下の確保も重要だ。確保無しに飛び移られたら、そこには悲劇しかない。
その点、この消防隊はとてもいい仕事をした。
違いますねぇ。はしごの形も違いますし。
日本では窓枠に先端の数段を入れ込むのが一般的でしょうか。
そもそも窓の構造が違います。
日本は左右開き、向こうは上下が多いのでしょう。
でも最近の新築戸建て住宅を見てると、上下開き、しかもはしごの幅くらいしかない窓をよく見かけません?
いつも、「怖いなー」と思って見てました。出るのも入るのも、出すのも、どうしようって感じです。
進入も、日本はまず足でダンダンッ!とやって足から。向こうは頭からダイブ!(手斧とかで強度確認)ですよね。
その国の環境や事情に合わせて長い歴史の中で活動が形作られいるので、違って当然。良いも悪いもないです。
でもその違いを知ることで、色々な方法を知っていることで、頭を柔らかく保つというのは良いことだと思います。
もし自分だったら。例えば確保ロープは使うのか。考えれば次の訓練も違ってくるはずです。
そしてこのビデオ、ヘルメットマウントカメラで撮られています。
逆にこの辺りは素直に見習うべき、かと。
こんな貴重な教材ありません。これをその場にいた者だけの経験に終わらせてしまうのは、本当に愚かだと思います。
最後に私の好きな、局長の決めゼリフ。↓
“石をぶつけてるんじゃない。(批判したいんじゃない)
ビデオってのは最高の教材なんだ。
覚えていてほしい。
「できすぎる」とか、
「備えすぎる」とか、
「安全すぎる」
…なんてことはあり得ない。
俺はワイリー局長。
安全にな!”
・・・いつもありがとうございます、局長!