例えばFDNY
前回のエスケープキット、例えばニューヨークでは全員標準装備です。(もちろん自作なんかじゃなく)
きっかけとなったのは、2005年1月23日、「FDNY史上最も暗い日」とも言われる「BlackSunday」です。
この日、2つの災害現場で複数の殉職者が出てしまいます。
一つの事故は一般住宅の地下火災。そしてもう一つが、エスケープシステム開発の契機となる4階建てマンション火災。
この現場で、検索に入った6名の消防士が、最上階で火に追われ、窓から飛び降りることを余儀なくされます。
6名中2名が殉職、2名が心身の後遺症とトラウマで引退、2名が度重なる手術と長時間のリハビリで人生を大きく狂わされた、とあります。
この事件後、「ロープの1本でもあれば違ったはず」とFDNY RESCUEを中心にシステムの開発が進められます。
(飛び降りたうちの1人は、自前のロープを持ちながらも、うまく機能しなかった、とのこと。)
↓英語ですがリソースを明らかにするために貼っておきます。ニューヨークポスト紙に開発経緯が載ってます。
https://www.nytimes.com/2005/06/06/nyregion/city-firefighters-buildtheir-own-escape-system.html
私も現物見たわけではありませんので断言はできませんが、映像などで見る限り、これ以降全員がハーネス・フック・下降器付きのロープを装備するようになっています。
もっとわかりやすい画像・動画も探せばたくさん出てきます。
防火ズボンにハーネスがついて、ゴツいフックと右のお尻辺りのポーチがエスケープキットですね。
さらにまだまだ日本では浸透していない放火フードやライトアングルライトなど、いろんな違いが見て取れます。
どちらが良い悪いではなく、「違う」と認識して、見習うべきところは取り入れる。
組織にいれば難しいことかもしれませんが、要ると思うのなら、あきらめずに議論したいところです。(私は出来なかった…)
ロープ一本で天と地ほどの差がでることもあるかもしれないのだから。